2012年06月09日

線維筋痛症の現状



今年の夏季研究会で、線維筋痛症(せんいきんつうしょう)を取り上げようと思います。

あまり聞きなれない病名ですが、人気女子アナが出産後、線維筋痛症の痛みのため自分の子供を抱くことも出来ず自殺したという痛ましい事件でクローズアップされた通り、お湯の刺激が痛くてジャワーを浴びることが出来ない、寝ていても自分の重みが痛みになる、大きな音が痛みとして響くなど、仕事や日常生活において、私たちの想像を越えた困難を強いられる病気です。

2009年に厚生労働省が行った疫学調査では、線維筋痛症の患者さんは、日本では200万人に上ると推定されています。200万人といってもあまりピンと来ないかもしれませんが、今や社会現象ともいえる「うつ病」の患者さんが日本全国で100万人・・・比較すると非常に身近な病気だということお分かりいただけると思います。しかしこの病気の認知度は極めて低く、日本人の2%が線維筋痛症でありながら、いまだ特定疾患どころか医療保険の適応にすらなっていないのが現状です。。

今年の研究会に講師としてお招きする、線維筋痛症のスペシャリスト、時計台記念クリニック広範囲疼痛外来の今野孝彦医師は、リウマチ内科医として35年間線維筋痛症に関わってきた経験から「線維筋痛症の患者さんは、誤診、診療拒否、過剰診断や過剰治療などで適切な対応がなされていない。その原因は医学教育や医療体制の不備にある」と喝破します。

線維筋痛症は改善できる.jpg今野医師の最新著書「線維筋痛症は改善できる」

繊維筋痛症の患者さんは平均して5ヶ所以上の医療機関を受診し、MRIなど高額な検査を何度も何度も繰り返しながら、診断の役に立たない検査に決して安くない費用と、効果のない薬物に高額な治療費を強いられ、あげくには繊維筋痛症の存在すら否定されることもあるそうです。しかし日本医科大学小児科から「不登校の児童の約7割が線維筋痛症だった」というショッキングな報告を聞き、医療者としてよりも子を持つ親として心が痛みました。

線維筋痛症は、英語でFibromyaligia Syndromes 腱や靭帯を意味するFibroと、筋肉を意味すMioが「痛い」ことに由来しています。しかしこの病気の厄介なのところは症状が痛みだけでないことです。シンドローム(症候群)がついているので、単一の病気ではないことが分りますが、心療内科医から、全身の痛みに加え、睡眠障害、疲労感、むくみ、しびれ、めまい、抑うつ症状など、患者さんは平均して24個以上の臨床症状を有しているとの報告もあります。

そして何よりこの病気が医療者泣かせなのは、こうした症状の原因が通常の血液検査やレントゲンでは分らないことです。
posted by かず at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 大村長生館の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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