「崖の上のポニョ」で展開された、宗介とポニョの出会いは、思わず「ありえね〜〜」と思えるほど偶然性に満ちていました。
しかし映画の世界でなくとも、現実の自分を振り返ると、職業や配偶者との出会いなど、ある種の偶然性がなくては成り立たなかったのではないでしょうか。
大学を卒業したての新入社員の時、たまたま招かれた結婚式でトイレに立ち、喘息発咳をピタリと止める長生医学の治療を目撃しました。それが私の人生の転機になったことは間違いありません。
私にとって人生の一大事が、たまたまビールを飲んで尿意を催したという偶然によって決まるなど、あまり信じたくないのですが(^^;)、実際にその結果が自分の人生を大きく左右しているのは確かです。
「深い必然性をもったものほど、人間の目には一見偶然に見えるといってもよく、そのような偶然を生かしてゆく心の余裕をもつことが必要であろう」故河合隼雄氏が、縁起を現実的に分り易く語った言葉だと思います。
故河合隼雄11月23日、NPO法人「絵本・児童文学研究センター」創立20周年記念文化セミナーが、に小樽市民会館で開催されました。
名誉会長だった、故河合隼雄氏を偲び、みみをすます〜河合隼雄の遺した物〜をテーマに、生前親交のあった、養老猛司氏、中沢新一氏が講演を行ないました。
養老氏は、「河合さんは、駄洒落や冗談ばかり言って、人を笑わせる人だった」と言います。しかしその奥底に、「既成概念に囚われない認知の変換」や「諸行無常」の思想を感じていたようです。
中沢氏は、「河合さんは、自分は本当のことなど言うたことないと、いつも笑っていた」というエピソードに、自分の考えだけが正しいと思い込む人間の煩悩の愚かさと、河合氏の真理に向かう哲学性を見出していたようです。
どうやら、文化長長官を務めた日本におけるユング心理学の第一人者は、生前の大きな目標「日本人の心の救済」を、仏教思想に見出していたようです。
みみをすます
じゅうまんねんまえの
こじかのなきごえに
ひゃくまんねんまえの
しだのそよぎに
せんねんまえの
なだれに
いちおくねんまえの
ほしのささやきに
いっちょうねんまえの
うちゅうのとどろきに
みみをすます
鼎談でコーディネーターを務めた谷川俊太郎氏の「みみをすます」という詩の一部です。

