6月19日付けの、イギリス科学雑誌ネイチャーに、興味深い記事が載っていました。
京都大学の佐藤教授を中心に、国立遺伝科学研究所がアメリカ・イギリスなどの研究機関と協力し、ナメクジウオのゲノム解読を行なった結果、脊椎動物の祖先はナメクジウオということが明らかになったそうです。
脊椎動物である、魚、爬虫類、哺乳類の背骨は、脊索と呼ばれる背中の筋が進化して出来たものと言われますが、これはおよそ5億2千万年前、ナメクジウオが脊椎動物に進化した結果なのだそうです。
人間も哺乳類なので、大きな意味では、ホヤやナメクジウオと同じ「脊索動物」に分類されます。また人の遺伝子の9割がナメクジウオにあることから、ナメクジウオは私たちの祖先に間違いないといえます。
私たち脊椎の治療を生業とする者にとって、背骨がいつ出来たかは、関心のある問題であるとともに、自律神経という、臨床上なかなか手に負えないやんちゃ坊主の特性を考える上で大いに参考になるのですが、実は、ナメクジウオという生物は、今まで見たことも聞いたこともありませんでした。
早速検索してみると、写真が出てきました。浅い海底の砂に潜っている体長3〜5センチくらいの線虫に似た小型の生物で、日本では瀬戸内海などに生息するそうです。生物の起源は、およそ35億年前に海の中に誕生したアメーバのような単細胞生物でした。単細胞生物の頃は、ひとつの細胞で消化・吸収、排泄していれば良かったのですが、それが多細胞生物に進化することにより、各々の細胞に栄養を供給する必要が生じてきます。その役割を担ったのが自律神経です。
人間がまだナメクジウオくらいの頃は、あまり動かず、海底でニョロニョロしながら植物プランクトンでも食べる副交感神経で生活していればよかったのでしょうが、広範囲に餌を求めるために危険を犯し、最初の脊椎動物である魚類に進化したのだと思われます。交感神経の機能がfight or flight(戦うか逃げる)と言われるのはそのためで、その後、交感神経は飛躍的に進化します。
ナメクジウオは、中国では食用として乱獲されていたそうですが、日本で食べるとは聞いたことがありません。しかし平和できれいな海にしか住めないナメクジウオは、果たしてこの日本で生き残れるでしょうか。


ちょっと拝見しに来ました。
私もブログ書いているのでよかったら
見に来てください。